2017年02月25日

ダンプダクトの有無と高調波歪の関係を20cmバックロードで検証

フルレンジでも20cmクラスになると低域再生に余裕が出てきますので、高調波歪は少なくなる筈ですが、、、
実際にスポット波再生を測定してみてどうなるか気になるところです。
ってことで、FOSTEX FE206Σを使用した極普通のバックロード箱(ホーン長2.7m)で検証します。

■ダンプダクト無し、軸上1mスポット波再生特性
20cmBH-SpotWave-01.jpg

■ダンプダクト有り、軸上1mスポット波再生特性
20cmBH-SpotWave-02.jpg

あれま〜、、、
聴感ではダンプダクト有りだとクセを感じなくて良い感じなんですが、測定値では大きな差が出ないようです。
ですが、流石に20cmバックロードの高調波歪はダクトの有無に関わらず小さいですね。
このレベルなら大音量でも十分行けそうです(笑)
posted by masamasa at 13:12| 自作スピーカー

2017年02月24日

フルレンジスピーカーの『Xmax(無歪振幅許容範囲)』と『高調波歪』と『エンクロージャー方式』の関係

フィディリティム試聴室では代表のN氏からイロイロな情報を伺いました。
その中で思わず「なるほどっ!!!」っと思ったのが「Xmax」についてです。

今までは周波数とXmaxの関係には注目していましたが、再生音圧とXmaxの関係は全く気にしていませんでした(笑)
単純に考えて、Xmaxの大きなドライバーのほうが大音量時の歪が小さいってことになります。
その他、PCで測定データを見ながらドライバーのTSパラメータについてレクチャーしていただき、思わず納得なお話を沢山聞くことが出来ました。

そういえばフィディリティムさんのブログに「三次歪と音圧のグラフ」が載せてありますのでお借りします。
Pluvia11HD.png
上図のようにPluvia Elevenは非常に低歪です。
なるほどコレが大音量再生でも歪っぽくならない理由ですね。
歪まないから、、、ついついボリュームを上げてしまう危険性もあるわけだけど・・・(爆死)

【参考資料】各社10cmフルレンジのXmax(Voice Coil Overhang)
・FOSTEX FE103En : 0.6mm
・FOSTEX FF105WK : 1.7mm
・TangBand W4-1320SIF : 3.0mm
・TangBand W4-2142 : 2.4mm
・MarkAudio CHR-70v3 : 4.3mm(1way)
・MarkAudio Pluvia Seven : 4.0mm(1way)
・Parc Audio : 非公開


ってことで、、、
Pluvia Seven+DDBH箱でスポット波の再生周波数特性を測定してみました。
正確な再生音圧はわかりませんが、50Wのアンプ使用でボリューム位置11時くらいでスポット波(30Hz、40Hz、50Hz、各-15dB)を再生してますので結構大きな音量で測定(軸上1m)してます。
P7T-spot-30-50Hz.jpg
基音と、その3倍の周波数との音圧差から「各周波数の三次高調波歪」が求められます。
おおまかに『基音に対して-20dBの差があれば歪率10%』ですので、40〜50Hzではそこそこ低歪だと思います。
尚、30Hzスポット波の再生音を耳で認識できても、実際には「基音+高調波」を聴いていることになるので、高調波歪の多いスピーカーでの『聴感だけによる判定』はあてになりません。
やはり、「聴感+測定」での判断が正確な判定に繋がると思います。

さて、話はそこで終わらないでDDBHの優位性についてブッコいておきます(爆)

基本的にバスレフ型や密閉型は振動板の共振(f0等)を利用して低音を増幅するので大音量になるほど不要な振幅が多くなりますし、同時に低域での空振りが起こりやすいので低域の再生効率が低くなりがちです。。
また、バックロードホーン、共鳴管等は振動板の共振に頼らず、ホーン共鳴、気柱共鳴を利用して低音を増幅するので、振幅は小さくなりますが共鳴による歪が大きくなります。
ところがDDBHは振動板の共振にもホーン・気柱共鳴にも頼らず、複合的に低音を増幅するので振幅は小さく、歪も小さくなります。
そのような訳で、適切に設計されたDDBH方式スピーカーは他方式に比べて低域の再生能力が一歩抜き出ています。
例えば、MarkAudioのMAOP7、MAOP10の潜在能力を発揮するにはバスレフでは役不足、DDBHが最適と思います。

、、、といった屁理屈理論を語るとツッコミが入りそうですが、実際に聴き比べれば納得できると思います。

ちにみに、バックロードの高調波歪を「バックロードの良い特徴」と認識するポジティブな方もいますが、一般的には『ホーン臭の元、クセの原因』と感じる方のほうがはるかに多いです。
例えば以下のような方は幸せです。
50Hz-Spot-test-02.jpg
上図のハイレゾレコパルの記事はこちら
↓  ↓  ↓
「夏の工作特集第2弾! 実物大プラモ感覚で16cmフルレンジのバックロードホーンを完成させる!」
posted by masamasa at 20:19| 自作スピーカー

2017年02月17日

マークオーディオ試聴室突撃リポート-其の2〜【Pluvia Seven対決】「NC7M_MP(バスレフ方式)」vs 「DDBH-10-FERMENTO(DDBH方式)」の筈が・・・(笑)

フィディリティムさんでの「突撃リポート-其の2-Pluvia Seven対決」です。
fidelitatem-sound-04.jpg

純正の各種バスレフ箱を一通り聴いてから持ち込んだDDBH箱(DDBH-10-FERMENTO)を聴きましたが、あらら〜元々低域エネルギーが多い箱なので床が鳴ってしまいます(笑)
そこで、自作ハイブリッドインシュレーターの登場!!!
insulator-change.jpg
ぉぉ、、、インシュ構造が効いてか床鳴りがピタッと収まりました。
ま〜この床鳴りは想定内でして、一般木造住宅のフローリング強度はこんなもんです。
これでオリジナルインシュの性能がフィディリティム試聴室でも実証された訳です(爆死)

ってことで改めて聴き比べてみますと、同じユニット(Pluvia Seven)なのにまるで違うユニットのような鳴り方です。
あれま〜、、、これは困りましたね〜;;;

どうやら今回試聴に使った「NC7M_MP」に取り付けられていたPluvia Sevenの「エージングが済んでない」ことが原因みたいです。
fidelitatem-sound-05.jpg

そんなコンナで同一条件での比較は出来ませんが、、、

「MAOP7、MAOP10、Pluvia7+各バスレフ箱」と「Pluvia7+DDBH箱」での大まかな印象で比較して見ます。

バスレフ箱は帯域バランスが良く、特に中高音が綺麗に鳴ります。
低域は必要十分な質感&量感があり、程良く締まってタイトな印象。
さらに音量を上げていっても歪っぽくならないのは見事です。
ただスケール感は程々なので、オーケストラを雄大に鳴らすのは難しそうです。

DDBH箱は雄大に伸び伸び鳴るのが特徴です。
バランス的には低域がやや強めで、高域に若干ピークを感じます。
低域過多は試聴室の「極端に縦長な形状」がホーン低域に影響してるのかもしれません。
また「箱の強度が低い」「吸音材未使用」の影響か、音量が上がると雑味、歪感が顔を覗かせます。
其の分、小音量でも鳴りっぷりが良くスケール感を出しやすいってのはありますけどね。


といった感じで、文章ではチト大袈裟な表現になりますが、実際には聴感で好みが分かれるくらいでしょう。
いずれにしても、どちらの箱も結構ハイレベルな出来だと思われます。

個人的には、、、

北欧系ジャズ、室内楽、独奏曲等をさり気なく鳴らすならバスレフ箱。

50〜60年代ハードバップ、大編成オーケストラをガッツリ鳴らすならDDBH箱。


かな〜と思います(笑)

最後に、DDBH箱の優位性をブッコいておきます(爆)
まずイチバン大きいのがバスレフなどに比べ低域をしっかり出せることですが、開口部断面積を変化させることで「量感重視」「伸び重視」「バランス重視」などに対応できます。
また、部屋の特性に合わせた低域コントロールもお手の物、ダクト面積、ダクト長の調整で対応できます。
さらに吸音材を使わないで音を構築できる(背圧の有効利用)ので、効率の良いエコシステムが可能になります。

尚、今回試聴したバスレフ箱とDDBH箱の絶対評価は下図のように感じました。
これは、どんな良い材料を使ってもバスレフ構造では到達できない領域があることを示したもので、主観的な音の好みは一切考慮されていません。
box-peformance.jpg
要は、ドチラの箱もまだまだ頂上は遠いぞ〜ってことですね(笑)
posted by masamasa at 19:45| イベント(試聴会、オフ会等)

2017年02月16日

『マークオーディオ(フィディリティム・サウンド)試聴室突撃レポート』其の1〜「Nature Collection」無垢材の響きに魅せられて・・・

マークオーディオの日本総代理店「フィディリティム・サウンド(Fidelitatem Sound)」さんの試聴室に突撃してきました(笑)
以下、簡単な試聴記になります。
fidelitatem-sound-01.jpg

MAOP7、MAOP10とNature Collection無垢ボックスの組み合わせ、完成品の15cmSOTAを中心に色々と聴かせていただきました。
音質比較用にラワン合板の自作バックロード箱を持ち込んだんですが、ルックスは無垢ボックスの圧勝です(笑)

まずは「Nature Collection NC10_MOP_MP」(左)と「SOTA Cesti MB」(右)
fidelitatem-sound-02.jpg

最初にSOTAの15cmモデル完成品「SOTA Cesti MB」を聴きました。
使用ドライバーはSota11でスペックはPluvia Elevenと同等だそうです。
このモデルは小さい箱に無理やり15cmフルレンジを押し込んだイメージでしたが、伸び伸びとしたサイズを感じさせない見事な出音でした。
非常にバランスが良く、解像度の高い音が基本になりますが、若干耳につく帯域があるようです。
これはエージングが進めば気にならなくなるでしょう。

次「NC10_MOP_MP」
13cmのNC10_MOP_MPを一言で表すと「誇張感が無く自然な音色」につきます。
さらに明瞭度、静寂感が高いので「動と静のコントラスト」を見事に描き出します。
これはイイですね〜♪
そして、音量を上げていっても耳障りな音は出してこないんですね。
コレはメタルコーンに特殊な処理をしているためと思われますが、まさに「メタルコーンとペーパーコーンの融合」的な感じ。
いずれにしても高めのお値段が妙に納得できてしまう「良ユニット」に間違いありません。

続いて10cmモデルの「Nature Collection NC7_MOP_WN」
fidelitatem-sound-03.jpg
こちらはNC10_MOP_MPと似たようなキャラクターで、低域は弱くなりますが明瞭度は高い感じです。
ヴォーカルの質感はMP7の方が好みですね〜♪

と良いトコばかりなようですが、、、弱点もあります。
これは「小口径フルレンジ+バスレフ箱」全般の弱点でもありますが、、、
『スケール感が小さくなる傾向があり、箱庭的な空間になりやすい』ってことです。

はい、、、そんなときは「Side Press」スピーカースタンドです(笑)
「FAPS サイドプレス スピーカースタンド」のページ
Alpair7+Side-Press.jpg
上写真は「Alpair7+Linfof工房の無垢箱」をサイドプレスに載せた状態です。
FAPS試聴室に「Alpair7+Linfof工房の無垢箱」を持ち込んでの試聴記(FaceBook)が参考になると思います。
「フルオーケストラのスケール感を小型スピーカーで楽しみたい」という方にはオススメですので、持ち込み試聴されては如何でしょうか?
posted by masamasa at 18:14| イベント(試聴会、オフ会等)

2017年02月08日

PIONEER PE-101A(10cmフルレンジ)専用ダンプダクトBH「DDBH-PE101」

昨日の記事でお邪魔したエーブイアール(AVR = Audio Visual Repair)の社長さんが自宅サブシステムでPE-101を使用しているということなので、コソッっと設計してみました(笑)

PE-101は公称10cmですが実効振動板面積は65cuあるので実質11cmになります。
PE-101A-spec.jpg
ちなみに公称12cmのフォステクスFE126Enが66.5cuでホボ同じ面積です(公称値くらい規格統一して欲しいわ、、、、苦笑)

ちなみに純正ボックスとしてバスレフ3種、バックロード1種が公開されていますが、バックロードはイマイチな感じがします。
ワンランク上を目指すならDDBHをオススメします(爆)

■DDBH-PE101【設計図】
DDBH-PE101-01.jpg
方式:DDBH
サイズ:W.215xH.450xD.340(mm)
空気室容積:2.5L
スロート面積:49.95cu
ホーン開口面積:210.9cu
ホーン長:158cm
ダクト面積:101.75cu
ダクト長:10cm
推奨ユニット:PIONEER PE-101、PE-101A

■DDBH-PE101【板取り図】
DDBH-PE101-02.jpg

※参考資料※
純正バックロードホーン・イメージ図

PIONEER-PE-101-BH.jpg
posted by masamasa at 20:39| 自作スピーカー

2017年02月07日

「エーブイアール試聴室(水戸市)」突撃レポート♪〜エーブイアールは『地球にやさしい、物と人との共存を考える』会社です

「(有)エーブイアール」は有名オーディオメーカー数社のサービス認定店、指定店としての営業を主に、真空管アンプの販売修理、オリジナルスピーカーの販売等もしています。
会社名を初めて聞く方も多いと思いますが、国内各地の販売代理店、販売店、個人から真空管アンプ等が修理に持ち込まれている「知る人ぞ知る」会社です。
詳しくは「エーブイア−ル」のページをどうぞ。

ということで、エーブイアールさんの試聴室突撃レポートです。
試聴室と言っても独立した部屋ではなく事務所の一角で試聴する形になりますので、試聴スペースという表現が適切かと思います。
AVR-02.jpg

今回は、手前の椅子に乗せたスピーカー(STEREO誌付録のFOSTEX M800)を持ち込んで、エーブイアールオリジナルスピーカー「MODEL 01N」(組み立てキット、詳しい組み立て説明書付き)を中心に比較試聴しました。
AVR-04.jpg
試聴アンプはエレキットTU-8200を中心に、CDプレーヤーはパイオニア製SAプレーヤー(モデル名失念)を使用しました。
オリジナルモデルの01Nを一言で表現すると、「ハイブリッド構造の共鳴管1/8λ(one-eighth λ)方式スピーカーシステム」ってことになりますが、、、
「なんじゃこりゃ〜!!!」な方式ですね(笑)
1/8λ方式についてはコチラを参照のこと。
と言っても文章だけだと分かり辛いのでイメージ図にしてみました。

AVR-05.jpg
ぅ〜ん、、、イメージ図を見ても良く分かりません。
インピーダンス特性を測ればどのように動作してるかヒントになりそうですが、聴いた感じでは「音響迷路」と「トランスミッションライン」を足して2で割ったような感じでしょうか。
共鳴管やバックロードのようなクセは感じませんでしたが、そのぶん低域が弱いようです。
ところで、視聴用の01NにはマークオーディオCHN-70が取り付けられていましたが、このユニットはキット付属ではないそうです。

CHN-70はレンジを欲張らずに中域の質感を重視したハイコストパフォーマンスなユニットになりますが、01Nとの組み合わせではユニットの特徴が良く出ていて好印象です。
低域は箱サイズを考慮すれば十分に出ていますし、高域も刺激的な感じは無く非常にバランスが良いです。
ただ、オーケストラを表現するにはスケール感が足りない印象でして、箱サイズが小さいのでスケール感を出すのは難しいと思われます。

さて、エレキットTU-8200ですが、実は初めて聴きました(笑)
ローコストな真空管アンプですと低域の駆動力、制動力が弱い印象がありますが、どうしてどうして01Nは勿論、持ち込んだDDBH方式のM800もしっかり駆動していました。
真空管というと「芳醇な響き」「色気、艶」を求めてしまいますが、TU-8200は真空管的な鳴り方と半導体的な鳴り方が混在してまして、所謂「現代的な真空管アンプ」という面持ちです。
細かい部分での弱点はありそうですが、安心して誰にでも薦められるアンプですね。

以上、簡単な感想でした(^^)

リーズナブルに楽しむ真空管アンプ、フルレンジスピーカーに興味がある方には試聴をオススメします。
聴いてみれば『百文は一聴にしかず』で、新たな発見があると思います。
尚、試聴については「営業時間内なら何時でもどうぞ」らしいですが、電話かメールでの予約は大人の対応でしょうか。
場所は6号国道、水戸陸運局出入り口の対面ビルなので分かりやすいです。
AVR-01.jpg

そういうわけで、エーブイアールの社長様&スタッフの皆様、お忙しい中での試聴ありがとうございました。
今後ともヨロシクお願いしますm(_ _)m
posted by masamasa at 16:58| イベント(試聴会、オフ会等)